年度末に転職した場合の住民税の手続きはどうなる?

年度末に転職した場合の住民税の手続きはどうなる?

年度末(主に3月)に転職しても、住民税がなくなったり、転職先で自動的にすべて引き継がれたりするわけではありません。3月末に退職し、4月から別の会社で働く場合は、現在の勤務先と転職先の間で特別徴収を継続する手続きができることがあります。手続きが間に合わない場合は、退職時に残額を一括徴収されるか、自分で納める普通徴収に切り替わります。

住民税は、原則として毎年1月1日に住んでいる市区町村が、前年1月から12月までの所得をもとに課税します。会社員の給与から天引きする特別徴収は、通常、6月から翌年5月まで行われます。

年度末の転職で住民税がどうなるかは、転職先で特別徴収を続けるかで決まる

3月末に退職して4月から転職先で働く場合、次の3通りが考えられます。

状況 住民税の主な扱い
転職先で特別徴収を継続する 転職前の会社と転職先、自治体の手続きにより、給与天引きを続ける
継続手続きが間に合わない 退職時に残額を一括徴収されるか、いったん普通徴収になる
すぐに転職しない 退職時に残額を一括徴収されるか、納付書で自分で納める

ここでいう残額は、退職した時点でまだ給与から天引きされていない住民税です。たとえば3月に退職する場合、通常は4月分と5月分が残額になります。

3月末に退職し、4月1日に転職する場合

3月31日に退職して4月1日から新しい会社で働く場合、まずは転職先に「住民税の特別徴収を継続したい」と伝えてください。転職前の会社が市区町村へ提出する「給与所得者異動届出書」などに、転職先の情報を記載して手続きを進めることがあります。

ただし、提出する人や書類の記載方法、期限は自治体や会社の事務手続きによって異なります。本人が直接すべてを提出するとは限らないため、次の2か所へ早めに確認します。

  • 退職する会社の給与担当者:退職日、最終給与での一括徴収の有無、異動届出書の提出状況
  • 転職先の給与担当者:特別徴収の継続を受け付けるか、必要な書類や提出期限

継続手続きが完了すれば、4月・5月分を含む現在の年度の残額を、転職先の給与から天引きできる場合があります。反対に、手続きが完了する前に退職処理が進むと、退職する会社から残額を一括徴収されることがあります。

3月に退職すると残りの住民税を一括徴収されやすい理由

住民税の特別徴収では、1月1日から4月30日までに退職する場合、未徴収分を給与や退職手当などから一括して徴収する扱いが原則です。これは、年度末に退職して納付書の送付が必要になるケースを減らすための制度上の扱いです。根拠は地方税法第321条の5です。

そのため、3月末退職では、最後の給与から4月・5月分の住民税がまとめて引かれることがあります。最終給与や退職手当の金額が不足していて全額を徴収できない場合は、残った金額について普通徴収の納付書が届くことがあります。

転職先で特別徴収を続ける手続きを取る場合は、この一括徴収ではなく、転職先での給与天引きとなることがあります。ただし、会社間や自治体での手続きが必要なため、転職先が決まっているだけで自動的に継続するわけではありません。

特別徴収が継続できない場合は普通徴収になる

普通徴収とは、市区町村から届く納付書を使い、本人が住民税を納める方法です。転職前の会社で一括徴収されなかった残額や、転職先での特別徴収の切り替えが間に合わなかった場合に、普通徴収へ変更されることがあります。

納付書が届いた場合は、転職先の給与からすでに天引きされていないかを確認してから支払います。二重に納めるおそれがあるときは、納付書に記載された市区町村の住民税担当窓口へ問い合わせてください。

転職後の6月から始まる住民税にも注意する

年度末の転職で特に注意したいのは、退職時に精算する住民税と、次の6月から始まる住民税は別の期間の税額だという点です。

  • 退職時に精算する分:現在の住民税年度のうち、まだ天引きされていない分
  • 翌年6月からの分:前年1月から12月までの所得をもとに計算された新しい年度の住民税

たとえば、3月に退職して4月に転職した場合、4月・5月分の処理とは別に、前年の所得に対する新年度の住民税が6月から発生します。前年に一定の所得があれば、転職直後の給与額が変わった場合でも住民税がかかることがあります。

転職先で特別徴収を行う場合は、6月以降の税額通知をもとに給与天引きが始まります。一方、切り替えが間に合わない場合は、普通徴収の納付書が届くことがあります。

年度末に転職した人が確認する手順

  1. 退職する会社に、最終給与で住民税の残額を一括徴収するか確認する。
  2. 転職先に、住民税の特別徴収を継続したいことを伝える。
  3. 転職前の会社が市区町村へ異動届出書を提出するのか、転職先が切替手続きを行うのかを確認する。
  4. 最後の給与明細で、住民税が何か月分引かれているか確認する。
  5. 納付書が届いた場合は、対象となる年度と税額、給与天引きとの重複がないかを確認してから納付する。

転職先が決まっていない、入社日が4月以降になる、退職日と入社日の間が空くといった場合は、特別徴収を継続できない可能性が高くなります。最終的な扱いは、給与を支払う会社と、住民税を課税する市区町村の案内で確認してください。

年度末の転職では、まず退職する会社に一括徴収の有無を確認し、転職先には特別徴収の継続を依頼することが重要です。継続手続きができれば給与天引きを続けられる場合がありますが、できない場合は一括徴収または普通徴収になります。