営業職が年度末に転職の内定を受けた場合は、内定の条件と入社日を確認してから、直属の上司へできるだけ早く、退職希望日とともに伝えるのが基本です。年度末は営業目標の締めや顧客対応が重なりやすいため、繁忙期だからといって先延ばしにせず、引き継ぎ期間を確保します。
ただし、「内定を受けた」と「入社が確定した」は同じとは限りません。書面などで労働条件、入社日、雇用形態を確認し、入社の意思を固めてから退職の話を切り出しましょう。
年度末に転職の内定を受けたら、まず確認すること
最初に確認するのは、転職先の入社日と、現在の会社で退職できる時期が両立するかどうかです。次の項目を確認してから、退職交渉に進みます。
- 内定通知書や労働条件通知書が発行されているか
- 入社日、雇用形態、勤務地、給与などの条件に認識違いがないか
- 内定承諾の期限がいつか
- 現在の会社の就業規則で、退職の申し出や退職届に関する決まりがあるか
- 残っている年次有給休暇と、営業の引き継ぎに必要な期間
口頭で「採用したい」と言われただけで、雇用条件や入社日が明確でない場合は、退職を確定させる前に転職先へ確認します。未確認の条件を前提に退職すると、入社時期や待遇の認識が食い違うおそれがあります。
退職を伝えるタイミングは、年度末を待たず早めにする
退職の意思が固まったら、年度末の業務が終わるまで待つのではなく、引き継ぎ期間を逆算して直属の上司へ伝えます。営業職は担当顧客、商談の進捗、見積もり、受注後の対応などを整理する必要があるため、事務職よりも引き継ぎに時間がかかることがあります。
たとえば4月1日入社を希望するなら、3月末まで勤務できるのか、3月中に有給休暇を取得するのかを早めに整理します。転職先の入社日を一方的に優先するのではなく、現在の会社の業務と就業規則を踏まえて、実現可能な退職日を提案してください。
民法上、期間の定めがない雇用契約では、退職の申し出から2週間が経過すると退職できるとされます。ただし、実際の手続きや引き継ぎについては就業規則に定めがある場合があるため、法律上の最短期間だけを基準にせず、会社の規定と転職先の入社日を確認することが大切です。
契約社員など期間の定めがある雇用契約は扱いが異なる場合があります。契約期間の途中で退職する場合は、契約内容や例外的な事情が関係するため、無期雇用の社員と同じ感覚で判断しないでください。
営業職の退職は、直属の上司に口頭で先に伝える
退職の話は、まず直属の上司に時間を取ってもらい、対面または社内の正式なオンライン面談で伝えます。いきなり退職届をメールで送ったり、取引先や同僚へ先に知らせたりするのは避けます。
面談では、次の順番で簡潔に話すと伝わりやすくなります。
- 退職を決意したことを伝える
- 退職希望日を伝える
- 転職先の入社予定日を必要な範囲で伝える
- 担当顧客や商談を責任を持って引き継ぐ意思を示す
- 会社の手続きや今後の進め方を確認する
退職理由は、現在の会社への不満を詳しく説明するよりも、「今後のキャリアを考え、別の環境で経験を生かしたいと判断しました」のように、転職の意思を落ち着いて伝えるほうが話し合いを進めやすくなります。
そのまま使える退職の伝え方
次のように伝えると、退職の意思と時期が明確になります。
「お時間をいただきありがとうございます。今後のキャリアを考えた結果、転職を決めました。つきましては、○月○日を最終出社日、○月○日を退職希望日として相談させてください。年度末でご迷惑をおかけしますが、担当顧客や進行中の商談を整理し、後任への引き継ぎを責任を持って進めます。」
転職先の入社日が決まっている場合は、「転職先への入社予定日は○月○日です」と付け加えます。転職先の社名、給与、選考内容など、退職の手続きに必要のない情報まで詳しく話す必要はありません。
退職理由は「引き止め」につながりにくい表現にする
退職理由は、上司への不満を並べるのではなく、転職を決めた事実と今後の方向性を中心に伝えます。理由を曖昧にすると、異動や待遇改善によって解決できる問題だと受け取られ、話し合いが長引くことがあります。
- 「営業経験を生かしながら、別の分野にも挑戦したいと考えました」
- 「今後のキャリアを考え、転職することを決めました」
- 「すでに転職先と入社時期を調整しており、意思は固まっています」
「少し迷っています」「条件がよければ残るかもしれません」と伝えると、退職相談として扱われる可能性があります。退職すると決めているなら、相談ではなく「退職の意思」として伝えましょう。
年度末の営業職で準備する引き継ぎ内容
営業の引き継ぎでは、顧客名の一覧だけでなく、取引の状況と次に必要な対応まで整理します。特に年度末は、受注見込みや契約更新、請求、納品が重なりやすいため、優先順位を付けて共有します。
| 項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 顧客情報 | 担当者、連絡方法、決裁者、過去の対応履歴 |
| 商談状況 | 提案内容、見積額、受注確度、競合状況、次回の約束 |
| 期限 | 契約更新日、見積期限、納期、請求や検収の予定 |
| 注意点 | 顧客の要望、社内調整の状況、トラブルや未解決事項 |
| 資料 | 提案書、見積書、議事録、メール履歴、社内申請の場所 |
引き継ぎ資料を作るだけでなく、後任者と顧客情報を確認し、必要なら同行やオンラインでの引き継ぎを行います。取引先への担当変更の連絡時期や方法は、会社の方針に従ってください。退職を自分の判断で先に顧客へ伝えると、会社と顧客の関係に影響することがあります。
上司に引き止められたときの伝え方
引き止めを受けても退職の意思が変わらない場合は、感情的に反論せず、「考えたうえで決めたことで、退職の意思は変わりません」と繰り返します。昇給、異動、担当変更などを提案された場合も、その場で返事をせず、転職先の入社日との関係を確認しましょう。
退職日を延ばす場合は、転職先に入社日の変更が可能かを先に確認します。現在の会社の都合だけで退職日を変更すると、転職先との約束に影響するためです。
退職届を出す前に確認すること
退職届は、上司に退職の意思を伝え、退職日について会社と確認した後に提出するのが一般的です。会社指定の様式や提出先がある場合は、それに従います。
提出前に、次の点を確認してください。
- 退職日と最終出社日が区別されているか
- 有給休暇を取得する場合の日程が決まっているか
- 引き継ぎの担当者と期限が決まっているか
- 貸与されたパソコン、スマートフォン、名刺、資料の返却方法
- 離職票、源泉徴収票、健康保険などの退職手続き
退職日や有給休暇の扱いが会社と合意できない場合は、就業規則や雇用契約書を確認したうえで、人事部門などに手続きの基準を確認します。転職先との入社日を優先して、無断欠勤や一方的な顧客放置をしないことが重要です。
営業職が年度末に退職を伝えるときの要点
内定条件と入社日を確認し、退職の意思が固まったら、年度末を待たずに直属の上司へ退職希望日を伝えます。伝えるときは、退職理由を簡潔にし、顧客・商談・期限・資料を整理した引き継ぎ計画も示しましょう。
最初に行うことは、転職先の書面で入社日と労働条件を確認し、現在の会社の就業規則で退職手続きと申し出の期限を確認することです。







