営業職の転職で取引先への退職挨拶は、自己判断で先に行わず、現在の勤務先の承認を得てから行います。挨拶の時期や方法は、会社の発表時期、後任者の決定、取引先との契約状況によって変わります。転職先の会社名や入社日を、許可なく取引先へ伝えるのは避けてください。
取引先への退職挨拶は誰が、いつ行うべきか
基本は、直属の上司や会社が取引先への連絡時期と方法を決め、その方針に沿って担当者が挨拶します。退職が決まった直後に、自分の判断で取引先へ伝えるのは適切ではありません。
退職の事実が社内で正式に共有され、取引先へ伝えてよい段階になったら、上司に次の点を確認しましょう。
- 取引先へ伝えてよい日
- 挨拶をする相手と範囲
- 後任者を同行させるか
- 対面、電話、メールのどの方法にするか
- 退職理由や転職先を伝えてよいか
- 引き継ぎ中の案件や契約について、どこまで説明するか
会社によっては、退職の公表を退職直前まで控える場合があります。取引先との関係が良好でも、会社の承認前に連絡すると、情報管理や取引上の問題になるおそれがあります。
営業職の退職挨拶は後任者の紹介と引き継ぎを中心にする
取引先にとって重要なのは、担当者が変わった後も連絡や取引が滞らないことです。そのため、退職の報告だけでなく、後任者、引き継ぎ状況、今後の連絡先を明確に伝えます。
挨拶では、次の順番で話すと要点が伝わりやすくなります。
- これまでの取引や支援へのお礼を伝える
- 退職することと、最終出社日または担当終了日を伝える
- 後任者の氏名と役職、連絡先を紹介する
- 進行中の案件や今後の対応方法を説明する
- 後任者と会社への引き続きの支援をお願いする
取引先への挨拶は、転職先のアピールよりも、現在の取引先が困らないための引き継ぎを優先します。
取引先への退職挨拶を対面で行う場合
重要な取引先や、長く担当してきた相手には、上司や後任者と一緒に訪問する方法が適しています。ただし、訪問するかどうかは取引先との関係や会社の方針に応じて決めます。
訪問時は、退職の報告だけで長時間話さず、後任者への引き継ぎが済んでいることを確認できる内容にします。進行中の商談、納期、問い合わせ先など、相手が今後必要とする情報を整理しておくと安心です。
対面での挨拶例は次のとおりです。
これまで大変お世話になり、ありがとうございました。私事で恐縮ですが、〇月〇日をもって退職することになりました。後任は弊社の〇〇が担当いたします。本日から引き継ぎを進めておりますので、今後のご連絡は〇〇までお願いいたします。これまでいただいたご支援に、心より感謝申し上げます。
退職理由を尋ねられた場合は、会社が認めている範囲で簡潔に答えます。詳しい事情や社内の不満を話す必要はありません。
電話やメールで退職挨拶をする場合
訪問が難しい取引先や、日常的な連絡がメール中心の相手には、電話やメールで挨拶します。メールを送る場合も、まず会社の方針と上司の確認を受けてください。
電話では、相手の都合を確認してから、退職日と後任者を短く伝えます。電話の後に、後任者の連絡先や引き継ぎ内容をメールで送ると、相手が確認しやすくなります。
退職挨拶メールの例は次のとおりです。
件名:退職のご挨拶と担当変更のお知らせ
〇〇株式会社
〇〇様いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
私事で恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職することになりました。これまで〇〇様には格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
後任は弊社の〇〇が担当いたします。今後のお問い合わせは、〇〇(メールアドレス・電話番号)までお願いいたします。進行中の〇〇の件については、〇〇へ引き継ぎを完了しております。
本来なら直接ご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりましたことをおわび申し上げます。今後とも弊社への変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
これまでのご厚情に、重ねて御礼申し上げます。
一斉送信する場合は、取引先同士のメールアドレスが見えないように宛先を設定します。重要な取引先には、一斉メールだけで済ませず、個別の電話やメールを加えることも検討します。
転職先の会社名や連絡先は伝えてもよいか
転職先の会社名や入社後の連絡先は、会社の許可がない限り伝えないのが安全です。退職挨拶の目的は、現在の会社の担当変更を知らせ、取引を円滑に引き継ぐことだからです。
特に、次の情報は自己判断で伝えないようにします。
- 転職先の会社名や部署
- 転職先での役職や入社日
- 転職後の個人メールアドレスや携帯電話番号
- 現在の会社の顧客情報、価格、提案資料、契約内容
- 転職後に取引を続けたいという勧誘や営業案内
転職先が同じ業界や競合企業の場合は、競業避止義務、秘密保持義務、顧客情報の取り扱いなど、就業規則や契約上の制限が関係することがあります。転職先を聞かれても、「転職先については、会社の方針により控えさせていただきます」と答える方法があります。
退職挨拶で避けたい言い方と行動
取引先との関係を保つためにも、現在の会社や上司への不満を退職理由として詳しく話すのは避けます。相手が親しい担当者であっても、社内事情を軽く扱わないことが大切です。
- 会社の許可前に退職を知らせる
- 後任者が決まっていないのに、担当変更を確定したように伝える
- 会社や上司への不満を話す
- 競合する転職先へ来るよう取引先を誘う
- 顧客名簿や商談資料を個人で持ち出す
- 「今後は個人の連絡先に連絡してください」と案内する
- 退職日や最終出社日を実際と違う内容で伝える
「今後も個人的にお願いします」といった表現も、取引先との関係や会社の規定によっては誤解を招きます。必要な連絡先は、まず後任者や会社の代表窓口を案内しましょう。
取引先への退職挨拶前に確認するチェックリスト
挨拶の前に、次の項目を上司や引き継ぎ先と確認しておくと、伝達漏れを防げます。
- 退職を伝えてよい日と相手
- 退職日、最終出社日、担当終了日
- 後任者の氏名、役職、連絡先
- 進行中の案件、納期、契約更新、請求の状況
- 取引先から質問された場合の回答範囲
- 転職先や退職理由を伝えてよいか
- 挨拶の方法と、上司・後任者の同席有無
確認が取れない項目がある場合は、推測で伝えず、上司や引き継ぎ担当者に確認してから連絡します。
営業職の転職で取引先へ挨拶する際の結論
取引先への退職挨拶は、会社の承認後に、後任者と引き継ぎ内容を明確に伝えることが基本です。まず上司に連絡時期と伝えてよい情報を確認し、重要な取引先には対面や電話、その他の相手にはメールなど、関係に応じて方法を選びます。
転職先の情報や個人的な連絡先は、会社の許可がない限り伝えず、現在の取引を滞らせないことを優先しましょう。







