年度末に転職する場合は、まず次の会社の入社日を決め、その前日までに現在の会社の退職日を設定するのが基本です。3月31日付で退職し、残った有給休暇を3月中に使うなら、最終出勤日は有給休暇の日数と会社の営業日をさかのぼって決めます。
ただし、有給休暇の取得日と退職日は別のものです。有給休暇を使い切るには、退職日まで在籍している必要があるため、退職日を先に決めることが重要です。
年度末の転職では「入社日」と「退職日」を先に決める
転職先の入社日が4月1日なら、現在の会社の退職日は原則として3月31日以前にします。3月31日付で退職すれば、現在の会社に在籍するのは3月31日までとなり、残った有給休暇もその日まで取得できます。
一方、転職先の入社日が4月15日などの場合は、現在の会社を3月31日付で退職して、4月前半を空ける方法もあります。転職先の入社日まで現在の会社に在籍し続ける場合は、入社日との重複や就業規則上の扱いを確認してください。
| 転職先の入社日 | 退職日の考え方 |
|---|---|
| 4月1日 | 現在の会社は3月31日付で退職するのが分かりやすい |
| 4月2日以降 | 3月31日付で退職して空白期間を置くか、入社日前日まで在籍するかを選ぶ |
| 入社日が未確定 | 退職届を出す前に、転職先へ入社日を確認する |
退職日を決める際は、入社日のほか、引き継ぎの完了日、会社の就業規則、雇用契約の期間も確認します。期間の定めがある契約社員などは、契約期間の途中で退職する場合の扱いが異なることがあります。
有給消化は退職日から逆算する
有給休暇をまとめて消化する場合は、退職日を最後の在籍日として、残日数分の勤務日をさかのぼります。土日祝日や会社休日は通常、有給休暇の1日として数えません。
計算例
仮に、3月31日付で退職し、残っている有給休暇が10日、会社の休日が土日祝日だとします。この場合、3月31日までの平日から10日分を有給休暇にします。最後に出勤する日は、その10日分の有給休暇が始まる前の勤務日です。
ただし、実際の最終出勤日は、その年のカレンダー、会社独自の休日、計画年休、半日単位や時間単位の有給休暇の扱いによって変わります。カレンダーの日数を単純に10日引くのではなく、勤務日を数えてください。
- 転職先の入社日を確定する。
- 現在の会社の退職日を決める。
- 有給休暇の残日数と、3月の勤務日を確認する。
- 退職日から勤務日ベースで有給休暇をさかのぼる。
- 最終出勤日、引き継ぎ日、貸与品の返却日を会社と調整する。
- 退職届や社内手続きを、会社の指定方法と期限に従って提出する。
たとえば3月31日を退職日として有給休暇を3月中にすべて取得する場合、最終出勤日以降は出社せず、在籍したまま有給休暇を取得する形になります。退職日は最終出勤日ではなく、原則として最後に在籍する日です。
有給休暇の取得日は会社と調整が必要
年次有給休暇は、労働者が希望する時季に取得するのが基本です。ただし、業務の正常な運営を妨げる場合、会社が取得時季を変更することがあります。退職前の有給消化でも、引き継ぎの状況を含めて会社と調整することが大切です。
そのため、退職直前に一方的に長期間の有給休暇を申請するより、退職の意向と残日数を早めに伝え、引き継ぎと取得日を同時に決めるほうがトラブルを避けやすくなります。
会社が有給休暇の取得日を変更できるかどうかは、業務への影響や申請状況などによって判断されます。「退職するから有給休暇は使えない」と一律に扱うことも、「退職日まで必ず希望どおり取得できる」と断定することもできません。
有給休暇が退職日までに使い切れない場合
有給休暇は、退職日を過ぎてから取得することはできません。退職日までの勤務日に収まりきらない場合は、残日数の一部が未消化になる可能性があります。
有給休暇の買い取りは、在職中の取得を妨げる目的で行うことはできません。一方、退職時の未消化分について会社が買い取る扱いが認められる場合もありますが、会社に買い取り義務があるとは限らず、金額や手続きも会社ごとに異なります。
未消化分をどう扱うかは、次の順番で確認してください。
- 有給休暇の残日数が正しいか
- 退職日までに取得できる日数はいくつか
- 引き継ぎ期間中に取得できる日程はいつか
- 取得時季の変更が必要になる業務があるか
- 未消化分の買い取り制度が会社にあるか
買い取り制度の有無が分からない場合は、就業規則や人事・労務担当者に確認します。制度の記載がないことだけを理由に、買い取りが必ずない、または必ず受けられるとは判断しないでください。
4月1日入社で3月に有給消化する場合の注意点
4月1日に転職先へ入社する場合は、現在の会社の在籍期間を3月31日までに終える日程が分かりやすいです。3月中に有給休暇を取得していても、3月31日までは現在の会社の在籍期間です。
ただし、有給休暇中に転職先で働き始めることは、雇用契約や就業規則、社会保険の手続きに影響する可能性があります。二重就業を認めていない会社もあるため、現在の会社と転職先の両方に、入社日と在籍期間を確認してください。
特に、次のような場合は自己判断で日程を決めないことが重要です。
- 現在の会社の在籍中に転職先で勤務や研修を始める
- 副業・兼業の届出や許可が必要な会社に勤めている
- 健康保険や厚生年金の資格取得・喪失日が関係する
- 3月31日が会社の休日で、退職手続きの期限が別に定められている
- 有給休暇の残日数や付与日が給与明細と一致しない
社会保険の扱いは、退職日と入社日、各制度の資格取得・喪失日によって変わります。4月1日に転職先へ入社する場合でも、保険証や資格確認書、必要書類の提出時期は会社へ確認してください。
退職の申し出はいつまでにするか
退職を申し出る期限は、雇用契約が無期か有期か、会社の就業規則にどのような定めがあるかで変わります。無期雇用では、法律上の申し出期間が問題になる一方、実務上は就業規則で1か月前などの期限を定めている会社もあります。
年度末は引き継ぎや人員配置の調整が発生しやすいため、法律上の最短期間だけを基準にせず、できるだけ早く上司や人事へ相談してください。退職日と有給消化の希望は、口頭だけでなく、会社の指定に従って書面や社内システムにも記録します。
転職先から内定を受けただけで、入社日や雇用条件が確定していない場合は、先に退職日を固定しないほうが安全です。内定通知書や雇用契約書で入社日を確認してから、現在の会社との日程調整に進みます。
年度末の退職日を決めるチェックポイント
退職日を3月31日にするか、それ以前にするかは、次の項目を確認して判断します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 転職先の入社日 | 現在の会社の退職日と重ならないか |
| 有給休暇の残日数 | 退職日までの勤務日に収まるか |
| 引き継ぎ | 最終出勤日までに資料や説明を終えられるか |
| 就業規則 | 退職の申し出期限や手続きが定められているか |
| 雇用契約 | 無期雇用か有期雇用か、契約途中の退職条件は何か |
| 社会保険・税務 | 資格喪失、入社時の手続き、給与や住民税の扱いを確認できているか |
まとめ
年度末に転職する場合は、転職先の入社日を確定し、現在の会社の退職日を決め、その日から有給休暇を勤務日単位で逆算するのが基本です。4月1日入社なら、3月31日付で退職し、そこから有給消化の期間を設定する方法が一般的です。
最初に行うことは、転職先の入社日と現在の会社の有給休暇残日数を確認することです。そのうえで、就業規則、引き継ぎ、在籍期間の重複、社会保険の手続きを人事担当者と調整してください。







